2022年11月28日月曜日

《三遠地区使信 №1235》20221127「アドヴェント 」

 教会の暦では、今日から新しい年、つまり、待降節、アドヴェントに入りました。そのアドヴェントに合わせて、聖壇にはアドヴェントクランツが飾られ、イエスさまがお生まれになる日までのカウントダウンが始まりました。そして、典礼色もそのイエスさまをお迎えする色である紫に変わりました。アドヴェントはラテン語では、元々「到来(到着)」を意味する言葉です。キリスト教では、イエスさまの到来(到着)、つまり、神の子であるイエスさまが、人の子として降臨されるのを待つ時を意味します。そして、教会にとっての新年、それは、明けましておめでとうではなく、クリスマスおめでとうです。そのクリスマス(Christmas) は、「キリスト(Christ:クライスト)のミサ(mass:マス)」に由来しますが、もちろん、私たちの救い主であるイエスさまの降誕をお祝いする日です。

私はこのクリスマスの季節になると、いつもある一つの物語を思い出します。その物語の名は、星新一の『ある世の物語』です。その物語はクリスマスイブに、たった一人だけの望みをかなえることができるサンタクロースが、いろいろな人を訪問する次のような物語です。

サンタクロースが最初に訪問したのは恋人も友達もいない寂しそうな青年でした。彼は望みを聞かれ、恋人、きれいな住まい、会社での昇進といろいろな望みが浮かんでは消え、迷っているうちに彼の心の中で変化が起きます。そして、贈り物を手にする資格が自分にあるか疑問に思った彼は「ぼくが辞退したら、あなたはよそを訪れることになるのですか」とサンタクロースに尋ね、「それがお望みならばね」と答えるサンタクロースに「この少し先に、病気で寝たきりの女の子がいる。ぼくから回されたことは黙って、その女の子のところへ行ってあげてください」と言います。その病気の女の子も彼と同様に迷った末に別の人を紹介します。そして、サンタクロースに訪問された人たちは皆「なぜ私のところに?」と思い、サンタクロースに問いかけます。サンタクロースは「心配している人がいる」とだけ明かします。この物語は、独りぼっちではないことを知るのが最高の贈り物であることを読者に伝え、物語の最後を次のように結びます。

「サンタは、もしかしたら、きょう最も楽しさを味わったのは自分ではないかと思った」

クリスマス、それは、神さまから私たち一人ひとりにイエスさまを送ってくださる最高の贈り物をいただける日です。そして、イエスさまは私たち一人ひとりに「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(マタイ28:20)と、あなたたちを決して独りぼっちにはさせないと言ってくださるのです。

この「大きな喜び」(ルカ2:10)を一人でも多くの人に伝えることができるアドヴェントの時を共に過ごすことができるように祈りましょう。みのり・岡崎 野口勝彦



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