2023年9月20日水曜日

《三遠地区使信 №1277》20230917「現代の方舟」

 現地時間9月8日夜、モロッコで発生したM6.8の地震により2,900人以上の方が、12日には、リビアで洪水の発生により1万人以上の方が天に召されました。被災地の一日も早い復旧と復興を祈りたいと思います。

 さて、私は先月、4年ぶりに主日の夏休みをいただき、東日本大震災の被災地を訪問してきました。震災から12年目の夏を迎えた被災地には、様々なインフラが整備されています。そのインフラの一つに三陸沿岸道路(仙台~八戸359km)があります。この道路は復興道路として2021年12月28日に全線が開通しました。今回はこの道路を利用し、仙台から八戸まで*「となりびと」での支援者の方々や各地に整備された震災関連施設等を訪問してきました。

 その中で石巻の支援者の方から一冊の絵本を紹介していただきました。その絵本の名は『おさとうやま』。この名は、東松島市野蒜(のびる)地区の「おさとうやま」として地域内外に親しまれる里山のことです。この山は震災の12年前、地元の佐藤善文さんが購入し、いつ来るかも分からない災害に備えて整備された私設避難所です。震災前、周囲の人たちにとって、この避難所の整備は理解しにくいものでしたが、震災時の津波襲来時には70余人もの命を救いました。住民の命を救ったことで「佐藤山」の呼称に「御」が付き、国内外から多くの見学者が足を運ぶようになり、この絵本ができあがったのです。

 この絵本のお話を聞き「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている」「七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした」(創7:1・4)のみ言葉を私は思い出しました。

 佐藤さんは、まさにこのみ言葉に登場するノアのように、周りの人々の無理解を超え、会社近くの里山を自費で購入し、65歳で私設避難所整備を決断したのです。

先のみ言葉は次のように続きます。

わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」(創9:13~16)

 今回の被災地訪問の初日、私は中部国際空港で、そして、最後の日、青森でダブルレインボー、二重の虹に出会いました。それは、私にとって「神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める」希望のしるしとなりました。

 *ルーテル「となりびと」http://lutheran-tonaribito.blogspot.com

みのり・岡崎 野口勝彦


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