「平和の福音」
今日から8月、当初、東日本大震災の復興を世界に発信すると計画されたオリンピックが、コロナ禍の今、一年遅れで行われています。オリンピックは平和の祭典とも呼ばれますが、ルーテル教会でも8月の第一日曜日に平和を覚えて礼拝を守ります。
そのような中、先月18日の主日の朝、一つの訃報が届きました。その訃報は、東日本大震災被災地の仮設団地集会所で、ルーテルとなりびとが支援していた「*つるしびなプロジェクト」の中心メンバーの方ものです。そして、その訃報を知らせていただいた方は、現在、その復興公営住宅に住まわれている方で、その前週に北上川の名産であるしじみとあの大川小学校校区である長面浦(追波湾)のあさりを復興のしるしとして送っていただいた同じプロジェクトメンバーの方です。
「つるしびなプロジェクト」は、石巻市の河北ボランティア友の会の方が同じ地域の仮設団地に住む方々の支援のために行われたプロジェクトで、延べ1000名を超える方がこのプロジェクトに参加され、全国からも材料等を送っていただきました。
また、その訃報が届けられた同じ日に、児童74人と教職員10人が津波の犠牲となり、学校管理下で戦後最悪とされる事故の教訓を後世に伝えるための東日本大震災遺構「大川小学校」の一般公開が始まりました。先のプロジェクトが行われた仮設団地には、この「大川小学校」の地域の方も住まわれていました。
今、開催されているオリンピックでは、メダリストに副賞としてビクトリーブーケが授与されていますが、そのブーケには被災地の復興を願い、トルコギキョウ(福島県産)、ヒマワリ(宮城県産)、リンドウ(岩手県産)、ナルコラン(福島県産)などが使用されています。宮城県の花にヒマワリが選ばれたのは、先の「大川小学校」で子どもを亡くした親御さんたちが、子どもたちが避難するために目指した丘にヒマワリを植え、毎年そのヒマワリの世話をしながら子どもたちの思い出を紡いでいたからです。その中の8人のお母さんたちのわが子へ宛てた手紙や話をもとにつくられたのが絵本『ひまわりのおか』https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b190789.htmlです。絵本にもなったこの話ですが、宮城県のヒマワリは、そうした被災者たちの思いも込められている花なのです。
先の天に召された方の葬儀の中で元東日本大震災ルーテル教会救援派遣牧師名の弔電が市長・市議会議員に続いて読まれたそうですが、この方から、プロジェクトのお昼の食前の祈りをお願いされ、毎回、その集会所でお祈りをしていました。お祈りをはじめて体験されたから「心が清らかになる」との応答もありました。
今日の第二の日課、エフェソの信徒への手紙 2章17節には「キリストはおいでになり、遠く離れているあなたがたにも、また、近くにいる人々にも、平和の福音を告げしらせました」と記されていますが、まさにこの方は、被災地にあって、被災者の方々に復興の平和の福音を、そのプロジェクトを通じて告げ知らせていたのです。
*詳細は本教会HP https://jelc.or.jp/jler/
となりびとブログ https://lutheran-tonaribito.blogspot.com/2012/08/でご覧ください。
みのり・岡崎 野口勝彦
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