「奇跡との出会い」
今日は待降節第3主日。イエスさま降誕はもう間もなくです。
そのような中、先月、東日本大震災の被災地で今も放射能の影響に苦しむ福島が舞台の一つとなっているNHK連続小説「エール」が遂に最終回を迎えました。
そのドラマのクライマックスを迎える前、依頼された東京オリンピックの開会式を飾るオープニング曲の曲作りが進んでいないと心配する妻に、主人公が曲を書きださなかった理由について、次のように語るシーンがありました。
「日本で(五輪が)行われるからって、日本古来の音楽を取り入れたり、復興を高らかに叫ぶマーチになんかしたくなかった。もっと普遍的な、世界中の人々が心高鳴る音楽にしたかった。そう心に決めたら、毎日あふれんばかりの音が僕のなかに降ってきたけど、何かが足りなくて、書きだせなかった…」。
主人公が求めていたのは「piece(一辺)ではなくpeace(平和)」。国家、人種の壁を越えた世界の人々の心をつかむ普遍的な旋律でした。
そして、その“何か”について、主人公は「見つかったよ、今さっき」とつぶやき、「いつ会っても出会ったころのように騒げる仲間がいる。これ以上の幸せってあるかな。何よりも尊いのはさ、人と人とのつながりだと思う。僕はそれを曲に込めたい」と訴えます。
「人と人とのつながり」。
今、世界は新型コロナウイルスに覆われ、多くの人が苦しんでいます。それは、「人と人とのつながり」が絶たれ、孤独の中に私たちひとり一人が追い込まれているからかもしれません。
そして、ドラマには、そのコロナによって今年3月、召天したコメディアンの志村けんさんが再登場します。その映像は、共演者のNGに思わず笑った鏡越しのオフショットが偶然、撮れていたもの。当初は第79話(10月1日)が最後の出演でしたが、偶然が重なり、回想シーンではなく新映像による再登場が実現しました。ドラマの演出を担当した吉田照幸監督はその映像を「奇跡」と語っています。
「奇跡」、神さまの子、イエスさまが人間の子として生まれることはまさに「奇跡」です。次週の福音書の日課に「神にできないことは何一つない」(ルカ1: 37)と記されている通り、その「奇跡」に私たちは、間もなく出会うのです。
先のドラマは、乳がんで闘病生活をする主人公の妻がベッドで「海が見たい。あなたと出会った頃のように、歌を歌いたい」と主人公と寝室から窓辺に向かい、居間に足を踏み入れます。すると、そこは豊橋の海となり、若返った2人が砂浜に駆け出し、主人公が砂浜にあるオルガンを弾き、妻が歌い、次の最後の会話で終わります。
「会えてよかった。会えなかったら、僕の音楽もなかった。出会ってくれて、ありがとね」「私も、あなたといられて幸せでした」
私たちもイエスさまと出会い、「私も、あなたといられて幸せでした」と言えるクリスマスを迎えることができればと思います。
みのり・岡崎教会 野口勝彦
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