「不安」
現在、新型のコロナウイルスの感染が国内でも広がっています。厚生労働省や各自治体によると、この原稿を書いている時点(3月5日午前0時現在)で、その感染者数は計315人に上っています。都道府県別では、28都道府県で感染が確認され、手洗いの徹底など一人ひとりの感染症対策が重要と報道されています。その報道に合わせたかのように、お店からはマスクが消え、そして、トイレットペーパーの紙類が店頭から消えています。その光景は、私に子どもの頃、体験したあのオイルショックを思い出させます。
今回のトイレットペーパーパニックは「流言」、いわゆる一つの「根拠の無いうわさ。デマ。」が原因だと言われていますが、その「デマ」を広めたのは今、日本中に満ちている「不安」です。今回の騒動を見ていると、この三遠地区で起きたある一つの事件を思い出します。
その事件は、ご存じの方も多いと思いますが1973年(昭和48年)12月、小坂井町(現・豊川市)を中心に「豊川信用金庫が倒産する」という「うわさ」が流れたことから取り付け騒ぎが発生し、短期間に約20億円もの預貯金が引き出された事件です。警察が信用毀損業務妨害の疑いで捜査を行った結果、女子高生3人の雑談をきっかけとした自然発生的なうわさが原因であり、犯罪性がないことが判明しました。この事件もひとつのうわさが人々を「不安」に駆り立て、取り付け騒ぎというパニックを引き起こしたのです。
聖書にもこの「不安」に関する記述がルカによる福音書 21章 25・26節に「地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、不安に陥る。人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう」と記されています。
今から9年前にも、同じように「不安」に襲われた人たちがいます。それは、東日本大震災で被災された方たちです。先日、その被災をされたお一人で、「となりびと」で支援をしていた石巻市北上町の方から、旬のめかぶが届きました。今から9年前、確かにこの方は先のみ言葉の通り「海がどよめき荒れ狂うので」「不安に陥」っていたのです。
しかし、9年が経過し、皆様からの心のこもった支援もあり、今は、私に旬のめかぶを送ってくださるような平安な日々を過ごされています。
私たちも、東日本大震災9周年を覚えながら、今のコロナウイルスの「不安」に包まれている人たちが、一日も早く、平安な日々を過ごすことができるよう祈ることができればと思います。
みのり教会 野口勝彦
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