2021年3月9日火曜日

《三遠地区使信 №1145》20210307 「10年」

    10年」

今週水曜日に東日本大震災から10年を迎えますが、先月には、大きな余震がその被災地を襲いました。幸いにも「ルーテルとなりびと」で支援した方々には物理的な被害はありませんでしたが、その精神的な痛手は私たちの想像を超えるものでした。

    宮城県では、この震災で亡くなられた方々に追悼の意を表し、震災の記憶を風化させることなく後世に伝えるとともに、震災からの復興を誓う日として毎年3月11日を「みやぎ鎮魂の日」とし、亡くなられた方々を追悼するため、震災の発生時刻である午後2時46分に黙祷を捧げられれるよう呼びかけられます。特に今年は特設サイト『東日本大震災10年オンライン行事 あの日を学びに10年目に伝えあう』が開設されています。

  先日、この震災10年を覚えたテレビ番組「ひとモノガタリ『生きた証しを残したい~震災10年 亡き家族への首~』が放映されていました。その番組のホームページには「東日本大震災で1,200人以上の命が奪われた岩手県大槌町。『亡き家族の生きた証し』を残したいと千首の短歌を詠んだ一人の女性がいた。震災10年の心の変遷を追いかけた」と紹介されています。その女性の方の名は小畑幸子(享年85)さん。彼女は生前「生きる糧」として書き続けたこれまでの人生を『命と愛に満ちた日々―震災後一人つづった記録』にまとめています。「私は何故(なぜ)、今を生きられるのだろう」。その著書はそんな問いから始まっています。震災前までは日記をつけていた彼女ですが、震災直後は「涙が出て文章を書き続けられなかった」と言います。ただ、短歌や愛犬の目から見た文章ならつづることができ、その後、現実と正面から向き合った文も書けるようになりました。そして、「ノートに向かわないと寝られない」と言うほど書くことが生きがいになり、震災後を含めた自分の人生を先の本にまとめられたのです。

  被災地の方々は、この10年、彼女と同じような思いで過ごしてきたことだと思います。そして、私たちもこの10年、被災地のことを覚えてきました。その証が、「ルーテルとなりびと」http://lutheran-tonaribito.blogspot.com/のブログのアクセス数です。その数は、2021年2月26日現在で374,907ページビューとなっています。

 教会の暦では、今、私たちひとり一人の罪を贖われるために十字架へ向かわれるイエスさまを覚える四旬節に入っていますが、その第2主日(2月28日)の日課(創世記)には次のように記されていました。

 「わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める」

 私は、その「虹」が、津波によって84名が召された石巻市立大川小学校旧校舎にかかった姿に一度だけ「となりびと」の活動中に出会い、この聖句を思い浮かべました。そして、この神さまの契約が守られるよう祈りました。私たちはこれからもこのみ言葉を信じ、被災地のことを覚えていくことができればと思います。 

みのり・岡崎教会 野口 勝彦



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