2018年12月3日月曜日

『ともしび』再開200号。20181202

「大きな喜び」

恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
ルカによる福音書2章10節~11節


日本福音ルーテルみのり教会牧師 野口勝彦

毎月、発行されている『ともしび』が今月号で通算400号、再開120号と再開からちょうど10年となりました。これまで編集等に関わっていただいた長谷川勝義兄に改めて感謝いたします。
さて、今日から待降節、アドヴェントに入りました。教会の暦では新しい年に入ったことになります。教会にとっての新年、それは、明けましておめでとうではなく、クリスマスおめでとうです。
クリスマス(Christmas) は、「キリスト(Christ:クライスト)のミサ(mass:マス)」に由来しますが、もちろん、私たちの救い主であるイエスさまの降誕をお祝いする日です。
私はこのクリスマスの季節になると、いつもある一つの物語を思い出します。その物語の名は、星新一の『ある世の物語』です。その物語はクリスマスイブに、たった一人だけの望みをかなえることができるサンタクロースが、いろいろな人を訪問する次のような物語です。
サンタクロースが最初に訪問したのは恋人も友達もいない寂しそうな青年でした。彼は望みを聞かれ、恋人、きれいな住まい、会社での昇進といろいろな望みが浮かんでは消え、迷っているうちに彼の心の中で変化が起きます。そして、贈り物を手にする資格が自分にあるか疑問に思った彼は「ぼくが辞退したら、あなたはよそを訪れることになるのですか」とサンタクロースに尋ね、「それがお望みならばね」と答えるサンタクロースに「この少し先に、病気で寝たきりの女の子がいる。ぼくから回されたことは黙って、その女の子のところへ行ってあげてください」と言います。その病気の女の子も彼と同様に迷った末に別の人を紹介します。そして、サンタクロースに訪問された人たちは皆「なぜ私のところに?」と思い、サンタクロースに問いかけます。サンタクロースは「心配している人がいる」とだけ明かします。この物語は、独りぼっちではないことを知るのが最高の贈り物であることを読者に伝え、物語の最後を次のように結びます。
「サンタは、もしかしたら、きょう最も楽しさを味わったのは自分ではないかと思った」
クリスマス、それは、神さまから私たち一人ひとりにイエスさまを送ってくださる最大の贈り物をいただける日です。そして、イエスさまは私たち一人ひとりに「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と言ってくださるのです。
この「大きな喜び」を一人でも多くの人に伝えることができるアドヴェントの時を共に過ごすことができればと思います。

沖縄の涙                                                                  長谷川勝義

沖縄の辺野古に基地を移転するために、周辺の海を埋め立てる準備が進んでいる。反対運動も盛んで、沖縄知事選では、基地反対派の玉城デニー氏が勝利した。とにかく、沖縄は、基地の町の印象が強い。いたるところに米軍の基地や施設がある。それが、戦後73年経っても、ほとんど変わらないというのが不思議だ。
あの沖縄戦では、沖縄の四人に一人が亡くなったという。激戦を経験し、兵士だけではなく、一般人がたくさん亡くなった。沖縄が本土の人々の身代わりとなった感がある。そのことを忘れてはならないと思う。だから、私たちは、現在も沖縄に多くの米軍基地があり、沖縄の人たちに多くの負担をかけていることを考えなければならない。
日本は、いつまでも、アメリカにおんぶにだっこではいけない。早く、本当の独立・自立をしなければならない。対等なパートナーとして、アメリカにも他国にも向きあわなければならない。ベトナム戦でもイラク戦のときも、沖縄の基地から米軍が飛び立っている。
アメリカと同盟はいいが、基地はすべて撤廃するくらいの覚悟は必要だ。基地を撤廃して平和への道をどのように確保するかを考えていくべきだ。
辺野古の周辺の海は、さんご礁も残り、ジュゴンなども泳ぐ自然豊かな貴重な海だ。それを、基地を作るために破壊するようなことは絶対許してはならない。そのために沖縄の人たちは、もう、十数年も毎日座り込み活動を実践している。沖縄の平良夏芽牧師も長年反対運動のリーダーだ。カヌーから、引きずり落とされ、死にそうになったこともある。何度も逮捕された。もう大分高齢になられたと思うが、現在でも、ご夫婦で抗議活動をしているのではなかろうか。
沖縄にも朝祷会が5箇所あって、現在も毎週か毎月一回ずつ開いている。そのうちの首里朝祷会の世話人をしている仲里朝治さんが、全国の各朝祷会あてに、沖縄からのメッセージを送って来られた。沖縄の基地のことを考えての切実なメッセージだったので、全文を掲載して、共にその痛みを分かち合いたいと思う。


「神様の皮袋に
  沖縄の涙が蓄えられている」     
首里教会 仲里朝治

主のみ名をさんびいたします。
私たち首里朝祷会は、月一回全国の朝祷会を覚えて祈っております。そのため、このお手紙を差し上げ沖縄島にある私たちの声を聞いていただきたいとの思いからペンを取りました。
私たちが月一回集まる場所は日本キリスト教団首里教会です。
1429年、沖縄島は、琉球国として独立していて、琉球王朝が治めており、その時代に天王寺があったその場所で毎月朝祷会が開かれています。
沖縄は、戦後70年余戦争体験者が減少しております。4人に1人が亡くなった沖縄戦、その痛みは今も引きずっています。聖書の「平和を創る者は幸いである」との教えを忘れることはありません。
私たちの沖縄は全国47都道府県の一つですが、本州の各県とは扱い方が違います。
沖縄県は歴史的にも文化的にも、言語的にも特徴があります。石破茂元防衛相が述べていますように「沖縄に軍事基地が集中している理由について(本土の)反対を恐れ、日本とアメリカが沖縄に多くの海兵隊の部隊を移した」と語っています。
それが差別です。そして、沖縄には矛盾がたくさんあります。公立の普天間第二小学校に、普天間基地から飛び立った戦闘機から重さ7キロの窓が落ちてきました。日本全国どこに公立の学校・保育園に飛行機の落下物が落ちてくる場所があるでしょうか。
私たちが聞いて欲しいことは、私たちのイデオロギーを伝えているのではありません。キリストの平和が、私たちの心の隅々まで行き渡って主にある交わりをすることです。
「聞いてください」そのことを、祈りの仲間であります皆様に私たちの痛みを分かち合っていただきたいのです。共にキリストの平和を実現するためにです。神様の皮袋に沖縄で被害に遭われた方々の涙が蓄えられているはずです。
聞いていただきたいのです。差別・不平等があります。痛みを分かち合うことで平和を創り出す。キリストの平和を心から求めています。
神様の祝福がますます豊かに朝祷会の皆様の上にありますようお祈りいたします。

《12月の予定》
□12月2日(日)日曜聖餐礼拝(待降節第1主日)、役員会
  5日(水)聖書に聴き、祈る会
  6日(木)田原牧師滞在日
  8日(土)田原夕礼拝
9日(日)日曜礼拝、女性会、男性会
12日(水)聖書に聴き、祈る会
       (年内最終、1月9日再開予定)
 13日(木)田原牧師滞在日
15日(土)田原夕聖餐礼拝
16日(日)日曜礼拝、祈祷会、お便りの集い
20日(木)田原牧師滞在日
23日(日)日曜礼拝(降誕祭礼拝)・祝会
                     田原燭火礼拝・祝会
24日(月)豊橋降誕祭前夜燭火礼拝
27日(木)田原牧師滞在日
29日(土)田原夕礼拝
30日(日)日曜礼拝、大掃除

編集後記 
クリスマスがやってきます。主のご降誕を多くの方々と一緒に祝いたいと思います。今年も、これで終わりです。一年一年が早く過ぎていきます。今年は、何をしただろうか。何か出来ただろうかと考えます。何も出来ていない自分を振り返ります。年をとるにつれて、その思いは深くなります。それでも、日々神様からのお守りをいただいて元気よく過ごせたことを感謝して次の年を迎えたいと思います。
 
イザヤ書11章のみ言葉から希望が与えられます。

平和の王 「エッサイの株からひとつの芽が萌えいで、その根からひとつの若枝が育ち、その上に主の霊が留まる。知恵と識別の霊、思慮と勇気の霊、主を知り、畏れ敬う霊。彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。目に見えるところによって裁きを行わず、耳にするところによって弁護することはない。弱い人のために正当な裁きを行い、この地の貧しい人を公平に弁護する。」

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