2018年11月7日水曜日

『ともしび』再開119号。20181104

ひとりではない   
 日本福音ルーテルみのり教会牧師 野口勝彦

「わたしはひとりではない。
父が共にいてくださるからだ」
ヨハネによる福音書1631

 11月に入り、今年も残り2ケ月足らずとなりました。教会の暦では122日が待降節第1主日です。つまり、教会では一足先に新しい年に入ります。
11月はそういう意味では、今年最後の月となります。その最後の月の最初の日曜日、ルーテル教会では、毎年、天に召された方を覚えて全聖徒主日を守ります。今年は114日がその日に当たります。
今年は多くの方が天に召されました。3月まで長野教会・松本教会の牧会をしていましたが、2月と3月に松本教会の信徒の方をお一人ずつ、天に見送りました。
そして、4月から、みのり教会の牧会を託されましたが、4月にH兄とA姉を、5月にS姉を、9月にK姉を天に見送りました。
また、以前、牧会していた福岡西教会と二日市教会の信徒の方、長野教会のお二人の信徒の方など、多くの訃報も伝えられました。
私たちの命は神さまから与えられ、この世で、それぞれの使命を与えられ、その使命を果たして神さまのみ許に帰ります。
今年、9月に天に召された、K姉もそのお一人です。みのり教会は今月8日で宣教65周年を迎えますが、今から15年前、つまり、宣教50周年に記念誌『みちびき』が発行されました。その中で、K姉は「思い出すまま」と題して、次のように綴られています。
「私が旧豊橋教会で昭和39年の復活祭だったと思いますが、北尾先生より受洗してから40年近くになります。長いようで、短いようで長い年月が過ぎました。人並みに結婚し、娘4人が与えられ、今年は初孫の誕生を迎える事ができました」「私達夫婦にとって人生の一つの山を越えた感じです」
この記念誌から15年後、突然、K姉は天に召されました。葬儀は、ご遺族の意向により、仏式で行われましたが、記念誌に綴られていた娘さん4人とお孫さんに見送られ、天に旅立たれました。
そして、記念誌には次のようにその続きが綴られています。
「豊橋に出稼ぎにやってきて初めて住んだのが舟原町だったから、そこに教会があったから今の私があり、肉による兄弟姉妹よりもはるかに親しくつきあっていただいて望外の喜びです。『主にあって絶えず祈りなさい。いつも喜んでいなさい』齢60を過ぎ最終コーナーを走り始めました。新しい天と地を目指してゆっくりと歩んでまいりたいと思います」
K姉はまさに「新しい天と地」に召され、今は神さまのみ許でゆっくりとされていることでしょう。
「わたしはひとりではない。父が共にいてくださるからだ」と言われて。
私たちも、全聖徒の日を迎え、K姉をはじめ天に召された方々のことを覚え、この世での使命を果たし、いつか、神さまのみ許に帰ることができるよう祈り続けることができればと思います。

Mさん(神戸在住)からの便り

 お便り感謝しています。み言葉を送ります。ルーテル六甲教会年間主題聖句
『わたしはあなたがたのことを思い起こす度に、わたしの神に感謝し、あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。それは、あなた方が最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。』(フィリピの信徒の手紙3:3-5)
・やっと六甲病院・市民病院から退院、再来院から解放され
 ました。我は死ぬることなし、生きて主イエス様を宣教・
 奉仕します。1111日、私の舟原よりもう40年、弱くとも
 復活。
・いつのまにか今年も年賀状を考える日々となりました。あ
 あ、あれは正月のこと、突然、心臓がおかしく自分もも
 し、あの時、だれも知らせてくださらなかったなら死んで
 いたと思います。今日に至るまで死より生へ・・・今日も
 思い出して感謝しています。アーメン

土に生きる-ディアコニアセミナーに参加して 
長谷川勝義

今年の107()の夜から8()の昼にかけて三重県伊賀市の愛農学園農業高等学校で行われた第26回秋のディアコニアセミナーに参加した。それは、テーマの「土に生きる」すなわち、農業のことをテーマにしていたことや、愛農学園のことは、以前から情報があり、それと、元総会議長で、京都教会の牧師であった小泉先生の娘さんの泉川道子さんが、そこで、副校長をしていて、今回のセミナーのプログラムの中で、彼女のお話も聞きたいと思った。
朝倉照雅さんの「九つの会」を手伝っている秋山さんに話したら、彼も農業に関心が強く行きたいというので、彼に車を運転してもらって、一緒に参加した。23号線から、伊勢湾岸道、東名阪を通って、結構時間がかかった。
愛農学園は、全寮制で、1学年25名の定員、それが3学年だから、多くても75名の小規模な全国でもまれな農業高校だ。しかも全寮制の農業高校と言うのは、全国でもここしかない。創立者は、キリスト者であった小谷純一という人。わたしは、これまで、小谷純一のことは、全く知らなかったが、ここでのセミナーでの泉川道子さんや、愛農会の現在の会長の村上真平氏の話を聞いて、素晴らしい人だったことを知った。
小谷純一は、敗戦後、日本の食糧難の中で、農業振興の必要性を感じ、愛農塾という組織を作った。愛農塾のモットーは、「神・人・土を愛する」の三愛精神であった。
こうした愛農塾(後の愛農会)の活動の中から、1963年に愛農学園農業高等学校が生まれた。
1995年の全国愛農会の創立50周年の記念講演で、彼の愛農活動を始めた切実な願いと熱意が感じられるので、以下一部抜粋する。
・・・『歴史は神の審判の足跡である』と言われています。天地万物の創造主であり、人類の歴史の主宰者であり給う真の神が、正義と愛を持って、個人も団体も国家も人類全体をも導いてくださいます。『一人の生命は地球よりも重い』と言う言葉がありますが、それは聖書の生命尊重の精神こそ愛農救国・救人類・救地球運動(愛農運動)のよって立つ基盤であります。『愛農運動って何ですか』と聞かれた時『生命を大切にする運動です』と答えたらよいと思います。もう少し具体的に言うと『平和と農業を死守する運動です』と答えたらよいと思います。
発会後10年にして農業者の自主的全国組織を完成した全国愛農会は三重県青山町に「人づくり」の道場として愛農根本道場(後の愛農学園)を創設しました。そして、総力を結集して愛農学園高等学校を創設しました。そんな学校を作っても三年もたたぬうちにつぶれると言われた愛農高校は既に創立34年を迎え、702名の卒業生を社会に送りだしました。その半数近くが、この農業情勢が厳しい中で農業と農村を守るために戦ってくださっています。・・・
このように、小谷純一と言う神を愛し、人を愛し、農業を愛した人物によって起こされた愛農学園高校が、あとを引き継いだ人々によって、現在も力強く継続をされている様子を知ることが出来てうれしい。ここでは、何よりも「命を育み、命をつなぐ」ために、農薬や除草剤、化学肥料を使わない有機農業を中心とした農業教育を実践していることだ。ここの生徒たちは、3年間、ここでみっちり教育を受けて、全国の農山村に散らされていき、それぞれの場所でがんばっているということだ。
1963年にここの愛農聖書研究会での講師であった簗瀬義亮先生の話は、現在の私たちにとっても、非常に大事な警鐘だ。「このまま農薬・除草剤・化学肥料を使用し続けるならば、20年後に日本国民の四人に一人がガン死する時代が来る」と!
まさに、現在、この預言の如くなっているのではないか。私たちの食べているものは、ほとんど農薬や除草剤や化学肥料やさらには、遺伝子組み換え、あるいは、種無しなど化学薬品で処理されたものではないか。それが積み重なって私たちの体に様々な悪影響を及ぼしていくことを考えなければならない。
セミナーでの一泊は、同窓会館の広間で雑魚寝だったが、朝食がよかった。合鴨農法で作ったお米のご飯をいただき、生徒たちが世話をしている鶏の生卵をかけ、自家製のソーセージ、絞りたての牛乳もあり、すべては、この愛農学園の有機農業で生徒たちの汗水たらした結晶の食べ物だけに、おいしかった。
愛農学園高校は、2013年に創立50周年を迎えているが、これまでの必死の取組みが様々なところで評価されている。2005年には、朝日新聞社の「明日への環境賞」を受賞。2011年には、農林水産省の「フードアクションアワード」大賞を受賞。2014年には、新校舎が三重県の建築一般部門で会長賞を受賞した。
少子化の中で、農業を目指す青少年は少ないと思うが、人づくり、農村作り、明日へと繋がる食料作りを実践しようとしているこの愛農学園農業高校を私たちも心から応援したいと思う。

11月の予定
   1 ()田原牧師滞在日
   3 () 教区信徒大会:なごや希望教会
   4 (日曜礼拝(全聖徒主日)、墓前記念会、役員会
   6 (教区会計システム説明会:名古屋めぐみ教会
   7 (聖書に聴き、祈る会
   8 () 南海トラフ対策セミナー
  10 ()田原夕礼拝(子ども祝福式)
  11 ()日曜聖餐礼拝(子ども祝福式)、女性会、男性会
  14 ()聖書に聴き、祈る会
  15 ()田原牧師滞在日
  17 ()田原夕聖餐礼拝
 18 ()日曜礼拝、祈祷会、お便りの集い
21 ()聖書に聴き、祈る会
22 ()田原牧師滞在日
□ 25 ()日曜礼拝(豊橋:信徒礼拝、田原:讃美礼拝)
28 ()聖書に聴き、祈る会
29 ()田原牧師滞在日

編集後記 
今年も残り少なくなりました。月ごとのカレンダーもあと2枚です。日々過ぎるのは早くても、一日一日が貴重な一日だと思い、感謝の一日だと思い、過ごしたいと思います。原稿をお寄せください。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。